
長谷敏司「円環少女 4巻 よるべなき鉄槌」
【仁と今亡き妹との過去話は、感傷に彩られて】
主人公・武原仁の過去話がメインの第四巻。
確かに今まで仁の過去については断片的にしか語られてなかったので、知りたいところだったけど、これがまた円環少女らしいキツイ過去。亡き妹を思い出す仁の、まるで古傷から血を流すが如き語り口が、良かった。
少年時代の仁の、「いつか」に対する憧憬が痛いほど伝わってきて、共感出来るんですよね。今時珍しい直球の熱血漢の仁が、どうやって形成されたのか良く分かりました。こういった事を踏まえて、現在のメイゼルとの関係を絡ませて語っているのが、やはり上手い。
ただ今回はシリアスだけでなく、脱力ギャグ方面も今回は際立ってました。
メイゼル、きずな、寒川紀子の、少女三人かしましい会話は、抱腹絶倒というか、仁の立場で読んでいると、笑うに笑えないというか、胃が痛くなるというか、ステキすぎ(笑)。
メイゼルのノロケに、きずなのフォローになってないフォロー、でもって的確すぎて苦笑してしまう寒川紀子のツッコミと、何でこんなに面白いんだろう。
「きっと、いつかあの人、あたしの胸で泣くことになるわ」
……メイゼルさん、その台詞は恥ずかすぎです(笑)。
それにしても、仁は相変わらず無駄に熱いです(笑)。
「そうか。じゃあ、気が済むまで続けよう」
「どうして、あなたは、このように愚かしく危険をおかすのです? 今、引き金を引けば終わることですよ」
「女の苦しみを受け止められるのは、男の役目だからだ」
こんな台詞、普通は恥ずかしくて言えません。
……
……
……そう考えると、仁とメイゼルっていいコンビだなぁ。恥ずかしい台詞を臆面もなく言えるという意味で(笑)。