「ヒストリー・オブ・バイオレンス」
原題「A History of Violence」/2005年アメリカ&カナダ/96分
【監督】デイヴィッド・クローネンバーグ
【脚本】ジョシュ・オルソン
【原作】ジョン・ワグナー/ヴィンス・ロック
【製作】クリス・ベンダー/デヴィッド・クローネンバーグ/JC・スピンク
【出演】ヴィゴ・モーテンセン/マリア・ベロ/エド・ハリス/ウィリアム・ハー/アシュトン・ホームズ
【あらすじ】
"私の愛する夫、私の愛する家族・・・。あなたは私の最高の人。"
アメリカ、インディアナ州ミルブルックの小さな町の田舎町で、トム・ストール(ヴィゴ・モーテンセン)と弁護士の妻エディ(マリア・ベロ)は、2人の子供たちと一緒に幸せで静かな生活を送っていた。夫は"STALL'S DINER"という自身のお店を経営し、妻ともいまだに仲むつまじく、愛に満ちた幸せな暮らしであった。だが、ある夜、夫のダイナーが二人組の強盗に襲われることからすべては始まった。閉店間際に店に入ってきた男二人は、閉店を伝えるトムに対して強い口調で注文し、銃を突きつけた。危険を察知したトムは強盗の一瞬の隙をついて銃を奪い取り、起死回生の正当防衛で、店の客や友人たちを救うのだった。
"幸せに静かに暮らしていたはずだった。夫がヒーローになる前は・・・"
人々を救い、ヒーローとして歓迎されたトムの生活は一夜にして変わり、国内のメディアの注目を浴びてしまう。その騒ぎに居心地の悪さを感じるトムだったが、妻や家族は彼のとった行動を誇りに思っていた。そして、またいつも通りの家族の静かな生活に戻るはずだった。
数日後、ニュースの影響で大繁盛の店に、威圧的な男たちが現れた。その一人、目がえぐれたフォガティ(エド・ハリス)は、昔の知人であるかのように夫に話しかけ始めた。トムのことをジョーイと呼んで・・・。
"夫はあなたのことなんか知らない、家族に近寄らないで"
夫は否定し、フォガティを店から追い返したが、夫の過去を知ると言う突然の謎めいた訪問者の出現で、不安にかられる妻エディ。その日から、男たちは家族に執拗に付きまとい始めた。家族に迫る脅威に怯えるエディはフォガティに家族から離れるように言うが、夫の過去を知っていると繰り返すフォガティは彼女に言い放つ。"オレは奴を知っている。なぜ、あんなにも人を殺すのがうまいのか、ジョーイに聞いてみろ"。
"お願い、真実を話して・・・"
心から夫を愛し、信頼はしているものの、信頼と不安の間で揺れ始める妻。ついに家族に危険が迫ったとき、愛と信頼に満ちた幸せな暮らしが、徐々に壊れ始めていく・・・。幸福と暴力が対立し、妻の愛は究極の選択を迫られていく・・・。
"あなたは私が愛したトムではないの? あなたは本当に今まで何人もの人を殺してきたの?"
【感想】
地味だが、力強い一作。
舞台はアメリカの片田舎で、アクションも派手ではなく、主演のヴィゴ・モーテンセンも「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンの風格もどこへやら、平凡なお父さんを演じてます。
本当に地味な雰囲気を漂わせているだけに、現実離れした事件に巻き込まれる家族の苦難が見事に描写されています。
ただそれはリアリティというよりは悪夢と言った方がいいような、現実感のなさを感じるのは、やはりクローネンバーグといったところか。
家族を守る為に立ち上がる父親像というのは、通常かっこよく描かれる描かれるのに、この映画ではまったく違っていて、まるで「スイッチが切り替わった」かのように冷静に人を殺す父親には不気味さすらあるかと。
それに、そもそも痛そうです(苦笑)。
物語も淡々と進み、多少の暴力シーンを除けば、派手さはまったくありません。
それでも、過去という悪夢が家族に執拗にまとわりつく様がとてもいやらしく、観終わった後、多少の疲労感を感じたのもまた事実でした。
そういう意味では、稀有な映画でしたね。
【総括】80点
テーマは単純で、過去からは逃れられないというお話。
邦画でも、場末の酒場の親父をやってる高倉健が、実は元ヤクザで、現在の抗争に巻き込まれるというのは、手あかの付いたお話かと。
ただ邦画と違うのは、主人公が孤高ではなく、家族を持っている点でしょうか。加えて、秘密にしていた過去を家族が知った反応を、話の主眼にしているのも、とてもアメリカ的映画だと思いました。
過去からは逃れられない、というのと共に、家族を守る為に暴力を振るう事が、本当に家族を守る事になるのか、という事のも問いかけているのではないかと。
ラストは、静かに終わるものの、到底単純なものとは言い難く。
観終わった後の疲労感は、本当に悪夢は終わったのか、という底知れ無さを感じたからかも知れません。
2006年05月09日
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<過去からは逃れられない、というのと共に、家族を守る為に暴力を振るう事が、本当に家族を守る事になるのか、という事のも問いかけているのではないかと。
同感です、シンプルですが面白い作品でした。
此方からもTBさせて頂きました、また宜しくどうぞw
初めまして、linさん。
TBだけしてコメントを書いてませんでしたね、すみませんでした。
シンプルで力強い映画でした。ほとんど語らないのに、色々考えさせてくれる感じですね。
今年も色々と映画は観たいと思っていますので、今後も宜しくお願いしますね。