2006年01月07日

映画『キングダム・オブ・ヘブン』(6/1)

「キングダム・オブ・ヘブン」
原題「KINGDOM OF HEAVEN」/2005年アメリカ/145分

【監督】リドリー・スコット
【脚本】ウィリアム・モナハン
【製作】リドリー・スコット
【出演】オーランド・ブルーム/エヴァ・グリーン/ジェレミー・アイアンズ/ブレンダン・グリーソン/マートン・ソーカス

【あらすじ】
 物語の主人公は若く美しい鍛冶屋のバリアン(オーランド・ブルーム)。実は勇敢な騎士ゴッドフリー(リーアム・ニーソン)の息子であることを知ったバリアンは、<キングダム・オブ・ヘブン(天国の王国)>を作りたいという実の父の理想を受け継ぎ、エルサレム王に忠誠を誓い、十字軍の騎士としてフランスから遠く離れたエルサレムへ戦いの旅に参じることになる。
 数々の苦難を乗り越え、騎士として成長していくバリアンは、絶望的な運命を背負ったエルサレム王を助け、やがて美しい王女シビラ(エヴァ・グリーン)と禁じられた恋に落ちる。しかし、父から託された使命と誓いを一途に守ろうとするバリアンは、エルサレム王の勧めにもかかわらず、シビラを妻とすることを拒否する。まさにその時、城門の外にはサラセン帝国の大軍が迫っていた。そして、シビラの夫ガイの反乱。都を守ることができるのは、バリアンとほんのわずかな騎士のみ。
 エルサレムの人々と愛するシビラの命のために、バリアンは戦いなど知らない住民たちと共に立ち上がる。壮絶、悲壮な戦いを繰り広げる高潔な心を持った“騎士”達。戦いの果てに、バリアンがたどり着いた<キングダム・オブ・ヘブン(天国の王国)>とは……。そして、バリアンとシビラの愛の行方は……?

【感想】
 何というか、全体的に薄い映画でした。
 主人公のオーランド・ブルームはそんなに悪いとは思わなかったのですが(いや、演技はあんまり誉められませんが……)、薄いんですよね。
 悪く言えば、薄っぺらい。
 才能的な面に関しては、元々はただの田舎鍛冶屋だった割に、剣の腕はすぐに上達するし、灌漑などもやってみせるし、戦術や籠城戦も何でもござれ、てな感じ。精神的な面に関しても、突然やってきた父親とのやりとりの部分はかなり重要な箇所にもかかわらず希薄だったり、イスラム教徒への共感の持ち方も、後々のシーンのことを考えると、軽く描写されただけ。
 これらを見る限り、人物造詣が上手く行ってないのだろうと。
 おかげで、人間として魅力溢れる言動はするんだけど、深みがないから、上滑りしてる感じがします。

 あと、尺が長く、間延びしている感じがします。
 もう少し設定を見直せば、シャープになったかと。例えば、父親とエルサレム王(モデルは第五次十字軍の神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ2世?)をダブらせたのは余計だったかなぁと。あと女王との恋愛は、別にいらなかったような気が。。。


【総括】40点
 毒にも薬にもならない映画でした。

 奇しくも「破壊屋」さんの感想である『政治的なバランス感覚が優れた脚本にひたすら感心』というのには、大いに同感。リドリー・スコットってノンポリだったっけ?とか思ったり。
 どういう意味かと言うと、物語が今風なんですよね。
 中世の、何が何でもキリスト教!的な、排他的、狂信的な刺々しさがほとんどない--十字軍というネタであるというのに!--極めて物わかりのいい脚本なのですよ。
 例えば、エルサレム籠城戦で犠牲者を焼こうとした主人公に対して、司祭が「火葬にすると最後の審判まで彷徨う羽目になるぞ」と戒めると「火葬にしなければ疫病が起こる」と反論。その上「我々はこうしなければいけないことは神も分かってくれるはずだ。もし分からないようなら、そんな神はいらない」とか言い出す始末。
 またエルサレムを攻めるサラディンに対して、「攻め入ればエルサレムを灰にする」と言えば、対するサラディンも「全てを無にするつもりか。それもいいかもしれん」とか言わせるぐらい。
 物わかりが良すぎて違和感満点なんですよ……宗教対立がメインなのに。

 物わかりがいいってのは、気持ちがいいのは確かです。
 主人公やサラディンの言動や行動には、大いに共感しますし、良き人間だと思います。
 でも映画としてはどーよどーよ?(笑)
 いい言葉だ、いい話だ、というだけでしかなく、おかげで毒にも薬にもならなくなってしまい、映画としての面白みが大いに欠けてしまっているような気が。
 それって映画としては致命的じゃないのかな?
 ……私の見方が特殊なのかもしれませんが、個人的には面白くない映画でした、はい。
posted by ミハイル暁 at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | 更新情報をチェックする
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